2 小説 物語に浸る

浅田次郎『シェエラザード』

際立つ描写力 あらためて脱帽

(初刊は1999年12月)

 面白さ、5つ星である。期待を絶対に裏切らない、浅田次郎伝説そのものだ。

 終戦直前に沈んだ船は、この小説のモデルの阿波丸だけでなく、舞鶴湾の洞爺丸もある。それを字にするかしないかで、これだけの差になるのか。

 登場人物の中では、朝日の記者に似せられた独身インテリ女性、元バンカー、船舶協会のトップに擬せられた黒幕と、どれも描写力が際立っている。

それにしても浅田はすごいなあ。あらためて脱帽だ。

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