1 ゴルフ 白球と戯れる

ドン・ヴァン・ナッタJr.『大統領のゴルフ』

あの男もそうだったのかとうれしくなる

 (NHK出版、2004年9月)

 歴代大統領はどんなゴルフをしたのか。その1点に絞って書いてある。詳しいのはクリントン、ブッシュ、アイゼンハワー、ケネディ、ニクソンといったおなじみの面々である。

 クリントンはスコアをごまかし、ブッシュは打ち直しをしてもOBなど失敗打は打数にカウントしない「ビリガン」をくせにしていたー。民主主義とスポーツマンシップの国の大統領が? 本当かいな、信じがたい。

 ぼくが注目した点を列記すると―

  • 近年の大統領候補のうちゴルフをしないのはアル・ゴア、ボブ・ドール、マイケル・デャカシス、ウォルター・モンデール。これは敗者のリストである。
  • アメリカ人はどちらかというと、ゴルフをしない人より、ゴルフをする人が好きだ
  • 過去1世紀の間でゴルファーを破って大統領になったのはカーターのみ。同じようにゴルフをしなかった大統領であるフーバー、トールマンも含めて3人はみな1期しか務められなかった。
  • 大統領候補がゴルフをやるのは賢明だ。その情報を公にすることはより賢明だ。だが気をつけないといけないのは、うまくなりすぎないことだ。国民は自分たちと同じように下手でひどいプレーをする大統領を望んでいる。ハンディゼロよりスコアをごまかすプレーヤーのほうがずっと好きだ
  • ゴルフはノーを突きつける。そこに大統領たちは惹きつけられてきた。ゲームは彼のものであり、彼だけのものだ。
  • クリントンは8年間の在任中に400回もラウンドした(年に50回、つまり週に1回。ぼくと同じペースだ)。これを上回るのはウィルソン(月曜から土曜まで毎日!)とアイゼンハワーだった。アイゼンハワーはゴルフに取りつかれていて、週に2回、水曜日の午後と土曜日の朝にラウンドした。

 うーん、ほっとする。あの男もそうだったのかと、うれしくなる。

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