5 映画 銀幕に酔う

米映画『華氏911』

真正面からブッシュ批判 これが米国だ

 (マイケル・ムーア監督、日本公開2004年8月)

 これほど批判精神にあふれ、ストレートでシニカルな映像表現はこれまで見たことがない。

 9.11の前にアルカイダ暗躍の情報は大統領周辺にまで上がっていたという。それを無駄にした挙句、テロで大打撃を受けると、オイルがらみでイラク攻撃へと突っ走るブッシュ、という批判を展開している。それが事実としても、ああした大統領を受け入れるのも米国の政治なのだろう。

 もし大統領がゴアになっていたら、何がどう違っていたのだろうか。すべては大統領選挙のフロリダ選挙区の結果に戻るのかもしれない。冒頭では、「あれは夢だったのか」というナレーションとともに、ゴアの勝利宣言が流れる。ブッシュ支持者はどんな気持ちで見たのだろうか。

 マイケル・ムーア氏の風貌も独特だ。野球帽に眼鏡とひげ、突き出た腹、ジーンズー。このキャラクターも含めて米国なのだ。

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