3 随筆 個性に触れる

丸山健二『安曇野の白い庭』

小説は2-3時間だけ あとは庭いじり!

 (新潮文庫、初刊は2000年)

 「信州に暮らす孤高の作家」と思い込んでいたら、なんと、庭に凝っていた。バイクやオフロード四輪に凝っている硬派の作家というイメージに加えて、まさかガーデニングとは。

 そんな驚きで文庫を買い、読み始めてさらに仰天した。かなりマジなのだ。いやかなりではない、メチャクチャにマジなのである。

 1日のうち小説は2-3時間だけ。あとは農具片手に庭いじりだという。「いじり」ではなくもっと本格的なのだろうが、それにしてもすごい打ち込みようだ。

 自宅の広さは350坪。仲の良い奥さんもいるらしい。子供はいない。犬はいる。どんな暮らしぶりか興味がある。その半面で、農村特有の湿った、閉じた文化を忌み嫌っているところがまた面白い。

 この本に掲載された写真で見る限り、筆者が胸を張るほどの庭にはぼくには見えない。ストイックな気分は感じられる。本物は違うのかなあ。

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