5 映画 銀幕に酔う

邦画『ディア・ドクター』

鶴瓶の味にじみ脇役も充実 ふくよかな余韻

 (西川美和監督、公開2009年6月、DVD)

 笑福亭鶴瓶のしゃべり方や風貌がどうも苦手でテレビ番組は敬遠してきた。でも主演したこの作品がキネ旬2009年の国内1位になった。新聞社の仕事で医療サイトと新紙面の創設にかかわり医師の世界にも関心が出てきたので観た。

 なるほど、である。鶴瓶は演技もうまいし、自然とあふれ出る人間味が備わっている。脇役もすばらしい。八千草薫の変わらない清楚さ、余貴美子の演技の奥行き、そしてここでもまた出てきた香川照之の存在感…。研修医師を演じた瑛太も、二女が最近では一番好きな男優だと評していた。

 映画全体もテーマとストーリーと演技が実にうまくミックされていた。キネ旬の1位もわかる出来栄えだった。

 西川監督をネットで調べると、女子大生かと思うような可愛らしい写真が出てきた。1974年生まれだからまだ36歳である。しかもあの『ゆれる』も撮り、香川とオダギリ・ジョーを使いこなしていたとは。

 ふくよかな余韻…。あれは彼女の持ち味なのか。

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