5 映画 銀幕に酔う

仏映画『画家と庭師とカンパーニュ』

田舎の幼馴染との再会 こころ揺さぶる対話

(ジャン・ベッケル監督、日本公開2008年8年)

 画家がカンパーニュ(田舎)の実家に戻ってくる。庭の手入れをしてくれる庭師を探したら、現れたのは小学校のころの幼馴染だった。

(▲イメージ)

 ふたりが交す言葉が魅惑的だ。字幕だけでは、奥行きや言外のニュアンスまではわからないかもしれない。表情や間を見ていると、かけ言葉やダジャレがたくさん含まれていると想像できる。フランス語は大学で第二外国語として学んだけれど、悲しいかな、そこまではわからない。

 それでも画家は庭師との付き合いの中で奥深いところでゆすぶられ、次の創作へのエネルギーを見出していく。そんな展開はなんともフランス的で、成熟した文化を感じさせてくれる。

 それにしても庭師の演技のなんと自然なことか。ちょっと前に観た『ディア・ドクター』の鶴瓶を想起した。

 なんの期待もせずにDVDで観たが、先週の『夏時間の庭』よりもさらにしぶく、味わいも深かった。ぼくが60歳近くなった証左なのだろう。

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