5 映画 銀幕に酔う

米映画『ジャージー・ボーイズ』

意欲旺盛 舞台作品をイーストウッドが映画に

 (クリント・イーストウッド監督、公開2014年9月)

 1960年代に米国で大ヒットを連発したボーカルグループの伝記映画。その名は「フォー・シーズンズ」。映画の中では、出演を断られたクラブ名をあえて名前にしていた。メンバーのだれかが「ビバルディ」の名を口にしていた記憶があるから、名曲「四季」は十分に意識していたのだろう。

 彼らが全盛のころ小学生だったけど、聞いたことがあると思う曲がいくつかあった。最初のヒット曲「シェリー」が代表曲になるのだろうか。リードボーカルが娘を亡くした後に歌った曲が、もっと深みもあり水準は高いと思った(曲名は覚えていない)。ネットによると「君の瞳に恋してる」らしい。

 もとは舞台ミュージカルだった。それを映画化したイーストウッド監督って意欲旺盛だなあ。映画の中のテレビ画面に、マカロニウェスタン時代のカウボーイハット姿の監督が出てくる。笑えた。ご愛敬である。

 ラストのグランドフィナーレもいい。昨年観た『舞妓はレディ』(周防正行監督、2014年9月)でもああいうエンディングがあった。インド映画は定番らしい。もとのミュージカル舞台も当然、この終わり方だったのだろう。

 それまでの喜怒哀楽はみなすべて流して、という感じで、観ている方も気分がよくて楽しい。どの映画でも、というわけにはいかない気もするが。

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