5 映画 銀幕に酔う

韓国映画『パラサイト』

早くて読めない展開 異次元の熱量

  (ボン・ジョノ監督、公開2020年1月、東宝シネマズ)

  韓国映画ならではなのだろう。かけられている熱量、筋立てからセットやセリフにいたる密度、展開の速さと落差の大きさのすべてにおいて、日本や欧米の近作とは「異次元」の高さと量を備えている。

 最近ぼくが観た映画とあえて比較すると、近いのは、1年前の是枝監督の『万引き家族』だろうか。あの映画の最後は、登場した「家族」がみな「他人」であった。その展開や結末も僕の予想を上回るものだった。ただそれほどどぎつい暴力シーンはなかった。

 パラサイトの展開の予想の外れ方の振れ幅はその上を行った。しかも画面のアクションは、殴り、けり、刺すというおぞましい暴力を伴って動いていくのだ。そのあたりに、ふたつの作品やふたりの監督の本質的な違いが表れているように感じる。絶対にそうだと言いきれる確信はないけれど。

 いまあらためてパラサイトの筋を思い返してみると、どぎつい暴力シーンが多いのに、ストーリー展開は流れるようだ。暴力でぶつ切れになっているのに、不思議と説得力がありわかりやすい。「万引き家族」はそれほど明確なアウトラインを持ってはいなかった。パラサイトは、暴力でふちどられている分、余計な意味づけや解釈が入り込む余地が少ないのだろう。

 あらためて思う。主人公のひとり、ソン・ガンホはうまい、うますぎる。なんという存在感であろうか。『シュリ』や『JSA』の時に感じた、骨身の太さを思い出す。二女が勧める前作『殺人の追憶』も見たくなった。

 妻と観た。日曜日の午後、6割の入りだった。

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