1 ゴルフ 白球と戯れる

跳ねる 滑る 氷点下の醍醐味

凍結グリーン 「カーン」と放物線

 (1月9日、東名古屋カントリー倶楽部)

 この球戯ならではの冬の風物詩だった。ことしの初打ちになった日は気温が未明に氷点下になったためグリーンは凍っていた。直接オンしたボールは「カーン」と勢いよく跳ね、予想もしない大きな放物線で奥へ飛び、パットのボールは転がるというより滑っていった。これもゴルフの醍醐味。北海道の仲間を想えばプレーできるだけでも幸せだ。

■快心打がカンガルーのように

 9日は所属する東名古屋ゴルフ倶楽部の月例コンペだった。コース周辺は未明に氷点下まで冷え込み、ぼくが到着した7時半ごろでも車の温度計は1度だった。

 この日の月例は東コースが舞台で、1番は527ヤードのパー5。ぼくはパーオンできず、第4打はグリーンまで20mほどの薄いラフからのアプローチになった。58度ウェッジを少し開いたロブショット。ボールは5mほど上がり、エッジから1mほど先に落ちた。

 まずまずのショットだった。スピンも弾道も。落下点から2mほど先で止められる、と期待した。しかしボールは落下と同時に「カーン」と高い音を響かせてほぼ同じ高さまで跳ねあがり、次の落下後も3度跳ねて、反対側エッジ付近まで転がっていった。

 ボールのその動きは、物音に驚いて飛び去るカンガルーみたいだった。ぼくはおとなしいハムスターの動きを予想していた。あまりの違いに、思わず笑ってしまった。そしてすぐ思い出した。

 ―そうだそうだ、これが氷点下ゴルフだった。

■するーっ スルーッ 止まる気配なし

 1番グリーンにあがると、ぼくのボールはいちばん奥に止まっていた。グリーン上を歩いていくと、夜間にシートがかぶせてあった「保護区」は芝生こそ凍ってはいないが、下の土は凍っている。

 シートをかぶせてなかったところは芝生も凍結していた。足を乗せるとするりと滑った。ぼくのシューズはスパイクレスだけれど、凹凸樹脂は貼ってある。もし普通の運動靴ならすぐに転倒するだろう。

 ピンまでおよそ13mか。少し上ってからフックしながら下っていくラインだ。ボール下と足元は凍結していて、その先の「シート保護区」には氷の粒がちらばっている。

 スタート前に見た「本日のグリーンスピード」の表示は9.0ftだった。足元の凍結も考えて、ぼくとしてはかなり弱めのフィーリングでパターを振った。

 ボールは凍結部をするーっと滑っていった。ほとんど転がっていないようにみえる。シート保護区では氷のつぶで小さく跳ねたのに勢いは弱まらない。下りに入ってからは勢いを増し、ピン右を過ぎても止まる気配はなく、5m下のエッジ近くでやっと止まった。

 返しはゆるい上り。10センチほど届かなかった。なめらかすぎる下りの動きが記憶にあった。強く打てなかった。4オン3パット。「あるあるダボ」であった。

■ティー穴は「キリ」で 北海道に比べれば…

 その後、太陽が高くなるにつれて気温も上がった。グリーンの凍結も溶けてふだんの姿へと徐々に戻った。しかし日陰のティーグランドではいくつか凍結が最後まで残り、ボールを乗せるティーが刺せない。

 そこで活躍したのが、T型の鉄の杖に釘がついた道具だ。ティーを刺したい場所にこの道具をドスンと落として小さな穴をあける。真冬はティーマークのわきに置いてあり、この日も4回使った。

 でもぼくはこの道具の呼び方を知らなかった。真冬もプレーするようになって20年になるが、なぜか聞いたこともなかった。ネットによれば正式名は「ティー・ボーリング」という。いわば「ティー立て用穴あけ器」である。ゴルフ場によっては単に「釘」とか「キリ」と呼んだりするらしい。

 この道具を使って何回か第1打を放ち、凍結グリーンにてこずりながらも、ラウンドも終わりに近づいていった。その日初めて同じ組でプレーした2人のメンバーと奮闘をねぎらいあいながら、ぼくは言った。

 「北海道や東北のコースはいま、雪や氷に覆われていて、ほとんどクローズしているはず。北の国のゴルフ好きに比べたら、ぼくらはプレーできるだけでも恵まれてますよね」

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