1 ゴルフ 白球と戯れる

大健闘の23歳…全英オープンTV観戦記2

ゴルフ好き祖父に導かれ 高校留学も生かす

 ことしの全英オープン(7月14-17日)に日本人選手は松山英樹選手を含めて7人が出場した。ぼくの注目は愛知県出身で初出場の桂川有人選手(23)。5アンダーで日本人最高の47位と大健闘した。元クラチャンの祖父に導かれて聖地への切符をつかんだ道のりも、自然かつはつらつしたプレーも、ぼくの心を強く揺さぶってくれた。

■ショット安定 自然なプレー

 桂川選手はずっと安定したプレーを見せた。ショットがぶれず、特にドライバーはほとんど曲がっていなかった。パットもしっかり打てているように見えた。

 ぼくは表情にも魅かれた。素朴で自然ではつらつ。無理に冷静になろうと表情を押し殺したりしない。時に軽く微笑む。惜しいパットを外すと悔しさが自然に口元からにじみ出た。でもふてくされたり、ピンまわりをうらみがましく見つめたりはしなかった。

 ティーインググラウンドでの待ち時間とかフェアウェーを移動中も、外国人キャディや同伴の海外選手とごく普通に会話を交わしていた。解説の丸山茂樹氏は世界で活躍し全英でも2002年に4位に入った実績がある。丸山氏は「英語ができるから初の大舞台でも臆していない」といった話を何度もしていた。

■おじいちゃんは元クラチャン

 桂川選手のことを初めて詳しく知ったのは、3月24日の中日新聞夕刊だった。

 ―父親代わりだった祖父(77)は岐阜県のゴルフクラブのチャンピオンになるほどの腕前だった。
 ―桂川選手がまだ4歳のころ、祖父が子守をかねて練習場へ連れて行ったのが、孫がゴルフに触れるきっかけになった。

 記事には桂川選手の祖父を深く慕う気持ちもあふれている。ぼくもゴルフ大好きのおじいさんだ。この記事を読んで桂川選手を応援せずにはいられなくなった。

■海外にゴルフ留学 高卒資格は通信で

 応援したくなった理由はもうひとつある。プロになると決めた後の進路選択だ。高校はゴルフ環境がいいフィリピンに留学した。ぼくが知る限り、この国の英語力は、学校教育でも一般社会でも、アジアでは筆頭だろう。

 しかも彼は、日本の高卒資格は通信教育で取った。大学は日本大学に進学し、名門のゴルフ部に入って活躍した。丸山茂樹氏は先輩になり、その後姿を追っている。

孫娘をだぶらせて

 じつはぼくの孫娘(15)も、バレリーナめざして今夏から欧州の専門校へ留学する。日本の高卒資格は通信教育でとるという。分野は違うけれど、世界水準目指して高校から海外へという潔い選択は、桂川選手と同じ道だ。野球で言えば、本塁打にしろ三振にしろ、まずは試合に出て打席に立たなければ何も始まらない。

 孫娘のきっかけ作りにぼくが役立ったわけではない。けれど桂川選手が祖父に導かれて辿ってきた一途な歩みを知り、世界中のゴルファーが憧れる聖地でのはつらつとしたプレーを見てると、孫娘の将来をだぶらせたい気持ちを抑えることができなかった。

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