1 ゴルフ 白球と戯れる

遠い「全日本」…PGSミッドも中部敗退

またOBで自滅 80位 実力足りず「2日で9打差」

 (三重県伊賀市・アリジCC、9月26・27日)

 日本パブリックゴルフ協会(PGS)が主催し、65歳以上が競うミッドシニアアマチュアゴルファーズ選手権の中部地区決勝が9月26日と27日、三重県伊賀市のアリジカントリークラブで開かれた。予選通過の132人が参加し、ぼくは両日とも86の80位タイで、全日本出場権まで9打も多かった。4発ものOBがなければ…。そんなタラレバ心理こそ、実力不足の証だろう。「しぶとく生きのびてさあ、来年またこの大会で逢おうぜ」。5度目の挑戦でも全国は遠かったけれど、ともに夢破れたおじさん仲間からの別れの言葉をかみしめている。

■2日ともアウトで右OBを2発

 この大会の総距離は6292ヤード(アウト3119、イン3173 )に設定された。グリーンスピードは11.0フィートと、ぼくには久しぶりの高速だった。

 ぼくのドライバーはきちんと当たっても飛距離は200ヤードちょっと。こうした公式試合に出てくる選手たちは、65歳以上とはいえ3人に2人はぼくよりうんと飛ばしてくる。全体で6300ヤード近くあり、グリーンは高速…。となるとドライバーをなるべく遠くに飛ばして、ボールを少しでもグリーンに近づけておきたい。

 しかしフェアウェーが狭いホールが多いのは前週の練習ラウンドでわかっていた。タイミングが少しでも狂うと…。力みと不安がOBにつながっていく

 <まず1日目> いきなり前半のアウト4番で第1打を右の林へ入れた。それで止まればまだしも、8番でも右のブッシュへ入れOBに。前半45。苦しい出足になった。

(▲1日目の前半ハーフ)
 (▲1日目の後半ハーフ)

 1日目の後半は5ボギーにとどめたものの、トータルは45、41の86。全国ラインは2日で161か162と見ていたから、気分のすぐれない夜をビジネスホテルで過ごした。  

 <そして2日目> インスタート。ボギーが先行し、6番でダボもきて前半は43だった。夢はさらに遠のいていった。

(▲2日目の前半ハーフ)

 そして後半のアウト8番、またも第1打が1日目と同じ右ブッシュへ入った。冷静さを失い、5Wの第4打も右の林へ。2日目の後半だけでOBを2発。2週間前のCGAグランドシニア失敗の完璧な再現だった。情けなく、惨めだった。

(▲2日目の後半ハーフ)

■OBなくても「全国」には届かず

  ぼくの2日間の合計スコアは結局、172 (86、86)になった。全日本への出場権が得られる35位のスコアは163だった。その差は9打もあった。

 でも帰りの車や帰宅してお風呂に入ると、頭の中で「欲」がかけめぐる。もしOBさえなかったら、足りなかったのは「あと1打」だった。

―あのアプローチ、あと50cm寄ってたら…
―あの1mのバーディーパット、もう少し強ければ…
―あの3パットさえなければ…

 次から次へと「タラレバ」が湧き出てくる。なんとも悲しき、アマゴルファーの性(さが)である。

 だがしかし、1日たったいま、冷静に戻った自分がいる。ゴルフにミスはつきもの。どれだけ減らせるかを競う球戯だ。いちばん避けなければならないミスがOB。1ラウンドで1発でも命とりなのに、2発なんて技術以前、「タラレバ」の対象にもならない―

 ほかのどの選手にも「タラレバ」があったはず。ぼくと同じ数か、もしかしたらそれ以上あったかもしれない―。

 2日間での9打差。これは「全国へ行ける水準」と「いまのぼくの実力」の差そのものだ。それを自覚し、本番でミスをどれだけ減らせるか、ミスしてもバーディーで取り戻せる技と心を身につけるしか道はない。

■ことし5試合目 中部敗退が3度

 ぼくはことし70歳になった。成績がよければ全国大会につながる公式試合のうち、シニアとミッドシニア、グランドシニアの計5試合に出た。結果は表の通りだ。

 CGAシニアとPGSグランドシニアは県予選で敗退した。残り3試合(CGAミッドシニアCGAグランドシニア、今回のPGSミッドシニア)も、予選通過できたといってもぎりぎりだったし、中部大会では全日本出場権までどれも遠かった。

 全国出場ラインとの差は1ラウンドにならしても4~8打もある。少なくてもOB不安を完全になくしたうえで、アイアンもパットもあと数段のレベルアップが必要だろう。

■おじさん仲間と「来年また逢おう」

 こうした大会に集まってくるおじさんゴルファーたちは、30代から40年近くもゴルフに熱中してきた腕自慢ばかりだ。所属クラブ代表としてインターの試合に出てきた人も多く、顔なじみが多い。朝の練習場ではこんなあいさつが飛び交っていた。

 A「おやまあ、久しぶり。元気に生きとったようだなあ」
 B「あんたこそ、懲りずに試合に出とるんや。結構、結構」
 C「わしゃ、春先に大きな手術して、もう終わりかと思うた」
 D「知ってる?  Eさん、肝臓がんで夏に逝ってしまいよった」

 でもぼくの2日目の組の4人はみな初対面だった。残りあと4ホールまできたOUT6番で、前のフェアウェーが空くのを4人がティーグラウンドに立って待っていたとき、ぼくは空を見上げながら、ぼそぼそとぶやいた。

 「こんな平日に、こんな穏やかな秋の空…。きもちいい…」

 するとほかの男たちも、ぽつりぽつり、問わず語りにしゃべった。なんとなく気心も知れてきていた老年のゴルフ仲間として…。おだやかな声で…。

「仕事せず、ひたすらゴルフに熱中できるなんて…」
「スコアが悪くったって、失うものなんかないしね…」
「体力とやる気が残ってるだけ、まだましかも…」
「安い遊びじゃないけど、週に1回ならなんとか…」
「亭主元気でゴルフがいい…なんてカミさん、言わないかなあ…」

 その後、ホールアウトしてアテストルームに移動し、スコアを確認しあってカードを出し終わると、解散だ。それぞれ再会できるのかさえ皆目わからない。別れ際に帽子を脱ぎ、互いに頭を下げながら、こんな言葉を交わしあった。

 「このまま元気にゴルフを続けられたら最高ですね」
 「どこかの予選で顔を見たら、声かけてください」
 「来年もぜひ、この大会でお逢いしましょう」

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