1 ゴルフ 白球と戯れる

最終ホールで2連続OB 自滅の予選敗退…PGSグランドシニア中部大会

アプローチミスに遠因 情けなさ うずく悔恨

 日本パブリックゴルフ協会(PGS)が主催し、70歳以上のアマが競う「全日本グランドシニア・アマチュアゴルファーズ選手権」の中部地区の第3予選が3月30日、名古屋港ゴルフ俱楽部で開かれた。94人の”おじいさん”が参加し、ぼくは「88」で予選通過に5打も及ばず、昨年に続いてこのクラスでは中部決勝に進めなかった。最終18番ホールで痛恨の2連続OBを打って自滅した。あまりにも情けなく、こころには悔恨の猛毒がうずまいている。うまく解毒できるだろうか。


■18番にきて「パーが要る」 自縛が力みに 

 この日の終盤、難しい17番をパーでしのいだ。その時点で11オーバー。最終18番パー4のティーで、オナーとして素振りをしながら、心の中で計算していた。

 「ここがパーなら83。カットラインは83か84だろう。絶対パーが要る。それにはドライバーをフェアウェーの左サイドへ打ちたい。なんとしても…」

 この18番、距離は358ヤードと長くはない。しかし左のOBラインが浅く、OB杭は樹林に隠れていてティーからは見えにくい。しかもグリーンのすぐ右手前に池があり、ボールがグリーンに届かないと池ポチャになる。


 ぼくは前々日から2日続けて練習ラウンドをこなした。このホールは2日ともドライバーはまずまずのところまで運んだのに、第2打を池に入れていた。

 「池に入れずパーを取るには、フェアゥエイ左サイドのいいところから第2打を打ちたい。距離も稼いでおきたい…」

 そこまで思い定め、軽く息を吸い込み、数秒おいてから

  1. 「1(イチ)…」と唱えながら、両手でバックスイングを始め
  2. 「2(ニイ)の…」で右腰を後ろへ引き、上半身は右にひねり
  3. 「の…」で一瞬のためとひねりを入れてトップをつくって
  4. 最後は一気に右足を蹴り返して「3(サーン)…」と振り切る

 と、いつものスイングをしたつもりだった。しかし、ボールはかなり左へ飛び出し、ゆるくドローしながら樹林に飛び込み「カン」と軽い音がした。なんで、左へ?  ぼくは「あとで暫定球をお願いします」と宣言したあと、ひそかに祈った。「神様がいたら、右へ跳ねて助かっているかも…」

■アドレスの手首から力抜けず?

(▲18番のコース図。青線はぼくの2回のOB)

 ほかの3人が第1打を打ち終え、ぼくが暫定球を打つ順がきた。予選通過の可能性を残すにはバーディーをとるしかない—。少し右を向いて打った。けれど球はまたも左へ出てドローし、フェアウェーわきの木に当たった。

 おれは何やってるんだー。自分に怒りながら落下地点にいくと、2球ともOBラインの外、隣ホールのラフに転がっていた。

 ティーショットをもういちど打ち直すためにひとりで小走りしながら元の位置まで戻った。1分近くかかっただろう。情けなくて、みじめ。あわれで、虚しい…。あの感覚は一生、忘れられないだろう。

 3度目の球のスコアも、池ポチャは免れたものの、ボギーに終わった。結局、18番パー4は2OB、1ボギーの「9」となった。トータルスコアは88。ぼくは第1組だから、ほかの組はみなプレー中だったけれど、予選通過が絶望的になったのは、わかっていた。

 帰りの車を運転しながら、18番の連続OBばかりが頭をよぎった。この冬、あんなに練習もしたのに…。涙をこらえられなかった。

  • 「アドレスの時に手首の力が抜けていなかった…」
  • 「トップに溜めもなかった…」」
  • 「手首が硬いままだったから、ヘッドがしならず、切り返しが早くなって、ヘッドが閉じて入った…」
  • 「トップで溜めがないから、上半身の力で叩こうとした…」

■ウェッジのミスが遠因 前半に2度も56度で 

 帰宅してからPGSのサイトで最終結果を見ると、予選を通過した選手は「83」以上の29人だった。カットラインの83には6人が並んでいた。もしぼくが18番をパーであがれていれば、インは39だったから、83の同スコア選手の最上位で予選通過できていた。タラレバの結果論にすぎないが。

 失意から1夜が明け、ゴルフダイジェスト(GD)社のマイサイトにスコアを登録しながら、プレーを振り返ってみた。

 すると、最終ホールの2連続OBには遠因があったと気づいた。前半アウトのパー5、3番と6番をダブルボギーにしたことだ。どちらもピンまで25ヤードほどの地点から、56度ウェッジでのアプローチをハーフトップしてしまった。

 練習でも記憶がないような、致命的なミスだった。しかも2度も…。こちらも両手に力みがあって動きが硬くなり、リズムも早かった気がする。

 後半のインは17番まで3ボギーでとどめていたから、前半のふたつのダボがなければ、最終18番のドライバーであんなに追い込まれたり、力むことはなかったかもしれないー。

(▲表示の9.8ftより遅く感じた)

 もうひとつはパット。グリーンの速さはクラブハウス表示だと「9.8ft」。ぼくは最後まで対応できず、2.5mから3mをことごとく外した。弱くて届かないか、届いても寸前で右か左へそれた。総パット数は35。芽が読めないから、打ちきれなかった。

 ゴルフではどんな後講釈もタラレバになる。コースは平等。ほかの選手の多くも緊張し、大なり小なりミスがあっただろう。こうした公式試合はトータルスコアがすべてだ。

■力まない練習 川柳で解毒しながら

 ここまで書いてきて、教訓もはっきりしてきた。次の大事な試合で痛恨ミスを重ねないため、緊張しても力まない練習がいる。体だけでなく、心までも巻き込んで、地道に繰り返すしかないだろう。

 そのために何か言葉の策はないか。考えた末に下手なゴルフ川柳を自作してみた。2連続OBが残した禍根が猛毒を含んでいるので、少しずつでも解毒できるように。

 これ本番 手首やわらか リズムよく

 またダボか うつむくなかれ 空に雲

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