4 評論 時代を考える

米映画『不都合な真実』

ゴア語る「温暖化の脅威」 論戦が激化

 (デイビス・グッゲンハイム監督、日本公開2007年1月)

 原名は「An Inconvenient Truth」。元米国副大統領アル・ゴアが語り部となったドキュメンタリーをDVDで観た。ゴア氏のスライド講演を軸にして、主張を裏付ける実写や資料を挟み込んでいく手法がとられている。

 記憶のために、ゴア氏が指摘した「真実」をランダムに上げていくと―。

  • CO2の増加で太陽熱が地球の表面にこまり、温暖化は急激に進む
  • 都市部の異常な高温はますます激しくなる。
  • 南極や北極、グリーンランドでは氷河が溶け出しており、このままでは世界の主要都市のダウンタウンは水没する。北京、上海、ニューヨーク…。
  • 永久凍土が溶け始めた。特にアラスカとシベリアは深刻だろう。
  • CO2削減や石油販売減を嫌う団体や政治家が意図的に活動を始めている。
  • 背景には人口の爆発がある。水不足がくる。
  • われわれはオゾン層の破壊を食い止めた。CO2削減もやればできる。

 ここまで書いたところで夕刊を読むと、この映画への反論が月刊誌「現代」に書いてあるとの記事を読んだ。早速「現代」を読むと、日本の著名な学者がゴア説に異を唱えているとある。いわく―。

  • 地球の温度はこれから下がる。
  • いまの気温上昇は太陽の活動の活発化によるものだ。
  • 「温暖化」はかってもあった。
  • 仮に極地の氷が溶けても、海水面は上がらない。
  • 米民主党のプロパガンダ(つまり反ブッシュ?)と言い切る学者もいる。

 などなど、どこまで信じていいのかわからない「説」が並んでいる。原因が何であれ、ゴア氏が指摘する現象が一定程度正しいとするならば、その元凶がCO2でないとした場合、人類は対応をとる必要はないのだろうか、地球の未来に不安はないのだろうか、と考え込んでしまう。

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