昭和10年代の空気 特撮とロケで再現
(篠田正浩監督、公開2003年6月)
長い。3時間だ。でも昭和10年代の社会の空気がよくわかった。当時の東京の街並みも追体験できた。特撮の効果である。
しかもロケ現場には、桑名の諸戸邸とか、明治村の帝国ホテルがひんぱんに出てきて、あそこで撮ってる、こっちでも撮ってると、別の観点からも楽しめた。
共産主義の末路がわかっている現代だからテーマにできたというべきかもしれない。ラストに出てくるトロツキー像の破壊の映像とか、ジョン・レノンの『イマジン』の歌は、使いたくなる気持ちや意図はわかるが、象徴的な意味合いが強く出すぎていなかっただろうか。
篠田監督の意欲とこだわりは痛いほどわかる。尾崎秀実役の本木雅弘がいい。