5 映画 銀幕に酔う

邦画『秋刀魚の味』

「小津節」の安心感 佐田啓二のスイング

 (小津安二郎監督、公開は1962年)

 うーん、これぞ、小津だ。映像、アングル、筋、笠のせりふ、表情、テンポ…。すべてが小津節である。この安心感。いいねえ、懐かしいねえ。

 出てくる女優がまたすごい。岩下志麻のあのきんきんした、ひんやりと冷たい声は少しも変わっていない。佐田啓二もいい男だねえ。

 少しの間だけぼくと一緒に観ていた子どもたちが「何これ、このセリフ」と問いかけてきた。芝居がかった一本調子の言葉遣いを変に感じるらしい。

 小津の遺作だという。今までに観た中ではやはり『東京物語』の方が話にメリハリがあったし、最後の締めもぼくにはしっくりきた。

 佐田啓二のゴルフスイングや、新しいクラブを軽く振ってみて欲しそうにするシーンには、演技だけではない実感がこもっていた気がする。もともと好きだったか、撮影前にずいぶんと練習したかだろう。そういえば息子の中井貴一もゴルフ上手という話を聞いた気がする。

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