2 小説 物語に浸る

横山秀夫『クライマーズ・ハイ』

久しぶりに小説に熱中 論点は多数

 (文藝春秋、初刊は2003年8月)

 元新聞記者が書いた泥くさい、ブンヤ物語である。山男のシーンより、どうしても、新聞社の中の動きや記者心理に関心がいった。

 ただし、現状の新聞社は、少なくてもぼくがいるところは、この小説に描かれているほど戯画的(マンガチック)ではないし、登場人物も類型的ではない。主人公の最後の気持ちのぶれや、揺らぎは理解できるけれど。

 あの日航機墜落事故と御巣鷹山を取材した記者たちの描写は、どれくらい筆者の体験や実話に基づいているのだろうか。ぼくは現地に行っていないからわからない。筆者の当時の立ち位置がそのまま主人公の立場だったとは思いにくい。

 いろいろ疑問や論点はあるけれど、久しぶりに小説に熱中できた。それになによりも面白かった。余暇にゴルフばかりじゃやはりまずいぞ。次は直木賞候補としていろいろ話題になった『半落ち』を読むべきかなあ。

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