6層のアトリウム 斜路包み込み一体感
(東京、設計=安藤忠雄+森ビル、2006月2月完成)
建築界ではことし最大の話題作になるだろう。建築を勉強した者ならみな知っている伝説的な同潤会アパート。その跡にできたファッションビルだ。
なんといっても外観デザインと内部空間の落差に驚く。表参道から見る限りでは、安藤色のない、普通のショッピングセンターに見える。シャープな切り込みとかRC打ち放しとか、スリットといった「安藤言語」は使われていない。
しかし中に入ってスロープを回りながら店舗を見だすと、この建物の主人公は真ん中にある6層のアトリウムだとすぐにわかる。中央の吹き抜け空間には、天井から波模様に光が照らされ、地層床に縞を作っている。通路が斜路になっているのでアトリウムには包み込むような一体感があり、しかも美しい。
特に素晴らしいのは、地下3階から階段を見上げた時の充実度だろう。先すぼまりになっているので、スケールがヒューマンで人の動きが有機的に見える。そこに立った若者たちが口々に「すごい」と叫んでいた。
安藤氏は同潤会アパートにもこだわって残している。やはりすごい。