自己体験つなげる醍醐味 報道の視点が支え
(平凡社、2006年4月)
待望の戦後編である。558ページもの大作だけど、つぎのページからつぎのページへと引き込まれていった。

語り口が軽妙だし、取り上げる題材はみな的確で面白い。エピソードが豊富で、人間臭いのだ。
自分が生きてきた時代を俯瞰して眺めつつ、しかも節目の出来事については詳しく知ることがこんなに面白いなんて。いまの日本社会の原点をわかりやすく教えてもらった。
戦前編の前著『昭和史 1926-1945』にも惹きつけられた。しかし、読んでいるぼくに同時代感覚がないから、ずいぶんと上手にやさしく書いてあったのだろうけど、まだ教科書的にしか読めなかった。
しかしこの戦後編は、自分の人生と体験の細かな断片をつなぎ合わせてくれる。ここまで読みやすくしているのは、筆者の長年にわたって磨いてきたジャーナリスティックな視点の確かさなのだろう。
いやあ、いい本だ。