80歳まで余暇8万時間 選択肢は無数
(岩波新書、2007年2月)
定年後を豊かに生きる人たちの事例がたくさん出てくるのは参考になる。ただすべて匿名だ。整理されすぎていて、それぞれの「人生のサマリー」ばかりを読まされている感じで、味気ないのが残念だ。
逆に言うと、ひとそれぞれに個別の思いがあるのは当然で、それぞれの「選択」があっていいということか。あとがきの次の文章がわかりやすい。
「自分らしく躍動することが第一、収入は二の次という定年文化が各地に築かれつつある。定番メニューにこだわることなく、自分の関心事に突き進めばいい。本書では定年後の選択肢が無数にあることを提示した」
もっともへえーっと思った指摘は次の「ともに8万時間」である。
■サラリーマン勤務と定年後余暇 ともに8万時間
△20歳から60歳まで年2000時間ずつ働くと
労働時間の合計は2000時間×40=80,000時間
△定年後に仕事をしないとすると1日の余暇時間は「24-睡眠8―食事・入浴・新聞・散歩など5=11時間」だから
80歳まで生きると余暇時間は11時間×365日×20年=80,300時間
△(結論) 定年後の余暇時間はサラリーマン勤務時間と同じだ
かなり個人差はあるだろう。それでもいえるのは、60歳で定年になり仕事をしなければ、膨大な余暇時間が目の前に残るということだ。