5 映画 銀幕に酔う

ロ伊仏ス合作『太陽』

イッセー圧巻 なぜ洋画なんだろう

 (アレクサンドル・ソクーロフ監督、2006年8月公開)

 たしかにイッセー尾形の演技は圧巻だった。ぼくがいろんな知識の中で想像してきた昭和天皇像を完璧なまでに再現じているように見えた。佐野史郎も「お上!」(お神?)の表情が秀逸であった。

 それでも観ながら思う。どこまでが史実で、どこからが想像なのだろう。マッカーサーとの会談内容はすべて米国の公式記録に沿っているのだろうか。通訳なしであんな長時間の会談ができたのだろうか―と。

 そして最大の関心は、日本の天皇を真正面から見据えた映画を撮ったのがなぜロシアの監督で、洋画なのだろう。日本人監督にはこんな作品はなかったのだろうか。篠田正浩はなぜ『ゾルゲ』だったのだろう―。

 冒頭で「たしかに」と書いたのは、昨年12月にある会合で岐阜県知事がこの映画を絶賛し「イッセー尾形の演技がすごい」と話したのを覚えていたからだ。この作品は話題作として新聞記事にもなっていたのに、ぼくは観ておらず、後ろめたく恥ずかしかった。

 あれから半年、もうDVDになっていた。憲法施行から60年の節目の年、みどりの日に借りてきてやっと観たのだった。

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