ショービジネスの蓄積 司会兼歌手も秀逸
(ロバート・アルトマン監督、公開2007年3月、DVD)
キネ旬2007年外国語映画の2位に入ったと年末に知って観た。面白かった。主人公の「メガネの兄さん」が秀逸だった。
30年続く劇場で司会・歌手を続けてきた男。どこか茫洋としていているのに芯は強く、エスプリを欠かさないインテリでもある。歌もいい雰囲気。飛びぬけて演技がうまいというわけではないが、場慣れた感じがして、観ていて飽きない。
全体に舞台設定もストーリー展開も巧みで、ああこれがキネ旬好みなのかと納得した。とにかく映画が好きで、ショービジネスの伝統が長く息づく米国ならでは作品という感じもした。
劇場を買い取ることになった実業家として、トミー・リー・ジョーンズが出てくる。日本のテレビで缶コーヒーの宣伝に出るようになっておなじみになった俳優だ。
あの苦みばしった独特の顔がとても強く印象に残っているので、本物の映画画面で見たとき、思わず笑ってしまった。松竹の映画で、渥美清がちょい役で出てきて、そのあとの画面をしばらく独占する感じと似ていた。