5 映画 銀幕に酔う

邦画『バッテリー』

天才ささえる友 捕手役の少年に郷愁

 (滝田洋二郎監督、2007年3月公開、DVD)

 野球の映画としてはB級といわざるをえない。野球シーンにリアリティがとぼしい。主人公投手の少年の演技からも、本来なら「逸材」が醸し出すべきオーラも感じ取りにくい。

野球ではなく、田舎を舞台にした青春、というより少年少女物語であるともいえる。ただしその純度は『天然コケッコー』ほど高くはない。

 それでもぼくは、キャッチャー役の少年にあこがれと郷愁を覚えた。「天才」肌の投手を受け止め、支えてくれる友の存在である。

 松坂大輔や田中将大の中学時代にもあんな幼友達がいたのだろうか。イチローはどうだったのだろうか。あんな少年の存在はもう、おとぎ話になってしまったのだろうか。

 そのあたりが原作の人気の高さの秘訣のひとつか。恥ずかしながら肝心の原作を読んではいないから憶測になるが、そう信じたい。

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