5 映画 銀幕に酔う

日中合作『靖国』

現役最後の刀鍛冶 問いかけに言葉少な

 (リ・イン監督、2007年公開、名古屋TV)

 想像していたほどぼくにとっては過激ではなく、メッセージ性が強いわけでもなかった。ドキュメンタリー作品としての出来栄えも、映像が荒いことや、やや冗漫なやりとり、記録写真の無造作な引用など、不満なところもあった。

(▲映画のパンフ)

 一部週刊誌や保守系議員が「反日」だと問題にしなければ、観てみたいとぼくが思うことはなかったように感じる。

 靖国神社が特別な神社であることは知っていた。戦死者の合祀について遺族には反対の人がいることも。

 政治からの公式参拝はこれまで、中国、韓国の強い反発を生んできた。「侵略戦争への反省もなく、朝鮮や中国の国民の心の傷に塩をぬるようなものだ」という反発だとぼくは理解している。

 戦争責任の問題をあいまいにしたことが大きな要因になっているのだろうか。ただ、もしそれを明確にしていたとしても、靖国は、日本の天皇制や民族主義の象徴とみることになっていたのではないだろうか。

 靖国神社のご神体が日本刀であったことは、このドキュメンタリーで初めて知った。現役最後の刀鍛冶の老人に監督が語り掛けても、無言か、言葉少ない。そのシーンが印象深い。

 名古屋テレビが主催した試写会に参加した。名古屋のテレビ局や新聞関係者ら約300人が観た。

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