欠落も淀みもない 高品質のままラストまで
(新潮文庫、初刊は1991年)
超能力を持ったふたりの少年と雑誌記者がからまるミステリー。そのストーリーづくりと、細部の確かさが秀逸である。
どこかが欠けている、という感じがまったくしない。どこにも淀みがなく、高い品質を保ったまま物語が最後まで流れていく。それも長編である。1992年の日本推理作家協会賞を受賞している。
この作家、帯の写真を拝見すると童顔である。少女がそのまま大きくなったかのような印象をうける。
しかしその頭脳には、読者を裏切らない筆力、江戸時代を舞台にした時代小説まで書ける幅の広さを備えているとは。
しかもぼくより8歳も若い。まいった、の一語である。