頭も同居の肉体 6代目ボンドの疾走に驚嘆
(M・キャンベル監督、公開2006年12月、DVD)
うーん、実に久しぶりの007である。定番の娯楽大作としてシリーズで20作もつくられてきただけあって、アクションは本物だし、筋立てのうまさもなかなかだ。
なんといっても、注目は新たに6代目ジェームズ・ボンド役に抜擢されたダニエル・クレイグだろう。鍛えた肉体にクレバーな頭が同居している感じがいい。
なかでも疾走するシーンは、上半身の姿勢といい、足の運びといい、すばらしい。上体がぶれずに全力に近いスピードを維持できる。世界陸上の200mか400mのランナーを見ている感じだ。
ただ伝説的なショーン・コネリーと比べると、まだまだな気もする。好色な大人のにおい、英国伝統の思慮深さと文化の香りといったところで、かなりの差がある。一緒に観た妻も同じ意見だった。