鮮烈なラスト 代表作のひとつか
(文春文庫、初刊は1992年12月)
まだこの人の作品を読み続けている。この作品、藤沢周平の膨大な作品の中でも『用心棒日月抄』『蝉しぐれ』に並ぶ代表作ではなかろうか。
「馬の骨」の名がある秘剣の後継者探しと、藩の権力抗争と、女の存在がクロスしていく。
権力抗争のくだりは説明的すぎる気もするが、馬の骨さがしとオチ、剣士にまつわる女のものがたりに変化があって面白い。
最後の妻の”秘剣”はあざやかすぎて、意表をつかれたという以上の鮮烈な印象だった。
この作家の本は、一気に文庫本を買い集めておいたので、まだ4、5冊も読み残しがある。この夏は持ってくれるだろう。本棚を眺めているだけで、とても幸せな気分になれる。