4 評論 時代を考える

清武英利『しんがり 山一證券 最後の12人』

組織崩壊後も矜持 「乱」後の筆者も意地

 (講談社α文庫、2013年11月)

 いゃあ、こいつは読みごたえがあった。倒産後も残って後始末をした人たちの選択も見事だが、このテーマを選んで取材し書ききった筆者もすごい。

 筆者は巨人軍代表だった2011年秋、いわゆる「清武の乱」で解任され、訴えられた。あとがきによると、その年の暮れから「ひとりのジャーナリストに戻り、組織を離れても悔いなく生きている人たちを取材し続けている」。

 山一證券の倒産は、極めて有名な「事件」であっただけに、関係者は多く、残された資料や新聞記事も膨大である。筆者は、古巣だった巨人と読売のドンとの訴訟を抱えながら、数十人ものロングインタビューを重ね、執筆している。その精神のタフさ、記憶力と整理力の無尽蔵さに素直に驚く。

 このノンフィクションの中心人物、嘉本隆正氏に筆者は敬意を表している。あとがきなどからすると、嘉本氏も、ナベツネに挑んで組織を追われた筆者に自分に近いものを感じて協力したのだろうとぼくは推察する。

 ふたりには自分の仕事に対する強い矜持を感じる。ただ嘉本氏には追随者がいた。筆者には、ぼくが知る限り、フォロワーがいなかった。

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