おだやかに すがすがしく 神々しい日々
(伏原健之監督、公開2017年1月)
あの津端修一さん、英子さんご夫妻のドキュメンタリー映画である。もとは東海テレビの番組として制作され、昨年の民間放送大賞に輝いた。その劇場版を今池のシネマテークで妻と観た。
大学時代に津端さんの講義も聴いたことがあったし、二人の話をまとめた『ときをためる暮らし』を昨年末に読んでいた。余暇評論家などという人を喰ったような職業名が冗談ではないことも知っていた。
そんな予備知識があっても、映像で見ると、高蔵寺でのおふたりの暮らしのすがすがしさ、神々しさ、品の良さが胸に迫ってきた。2-3世代上の夫婦とはいえ、現代人の暮らしの基準よりはるかに高い、いや、はるかに低いというべきかもしれないところで、穏やかに生きてこられたことに惹きつけられた。
ぼくも妻もそろそろ60代半ばになる。津端さんと同じように建築を学んだことがあり、いま住んでいる家も恵まれた広さがある。津端さんたちと同じことをやれる素養もないし、その必要もないだろう。でも、ぼくらができる範囲で、好きなことからゆっくりと取り入れてみたい。