開業100年の貫禄 街にも外国人の波
(奈良市)
日本4大クラシックホテルのひとつに家族と泊まった。軽井沢の万平、日光の金谷、箱根の富士屋の3つの老舗ホテルは、2年前の「憧れのクラシックホテルを巡る旅」のバスツアーで妻と連泊していたので、今回の旅で「4大」にすべて宿泊できたことになる。
この奈良ホテルは、あの東京駅設計の辰野金吾による和洋風である。外観とエントランスの吹き抜け、階段はさすがだ。1909(明治42)年の開業から100年余という年月をしっかりと感じとれた。
ただホテルとしての質や活気、重層感の総合点では、ぼくの個人的な尺度では、軽井沢・万平や箱根・富士屋に軍配をあげたい。日光・金谷よりは活気があった。それは観光地としての奈良と日光の人気度の差もあるかもしれない。
■ Oldest+Biggest 外国人に明解なアピール
奈良の観光資源はやはり圧倒的だ。何度も訪れてわかっているつもりでいたが、外国客の数が半端ないことであらためて実感した。なにせ法隆寺は「日本最古」の寺院、東大寺大仏殿は「日本最大」の木造建築である。
OldestやらBiggestというは外国人にはわかりやすい。少なくても訪日が初めてとか2度目の外国の方にとっては、京都の「わび・さび」より訴求力は強いだろう。
名古屋は日本の大都市では観光客にはあまり人気がない。その名古屋から行ったので、奈良をはじめとして日本の観光地にはいまこんなに外国人が来ているのか、という素直な驚きもあった。
名古屋には外国人を惹きつける文化遺産が少ないということをあらためて感じる旅にもなった。名古屋城さえ燃えずに残っていたら「日本最古の国宝天守閣」「サムライ建築の頂点」と言えたのに…。