自分の将来とだぶらせて観入ったけれど
(中田秀夫監督、2018年6月公開)
原作の小説は読んでいた。あの話を舘ひろしと黒木瞳がどんな風に演じるのか。それがいちばんの興味だったのに、ついつい、ぼくの今後がどうなるのかという想像とだぶらせながら観てしまった。
主人公は岩手県の田舎町の出身で、スポーツも勉強もできる文武両道のまじめ生徒だった。そのあたりはすこしぼくと共通点はある。しかし東大に進み大手銀行に勤めるところは、残念ながらまったく違う。
妻はとってもクールで冷たく、せりふもきつい。これもぼくの妻とは違う。でも映画のラストでは、ほんわか妻にもどり、ほっとした。
主人公が定年後に請われてIT企業の社長になるが、不幸にして背負ってしまった負債9000万円はどうやって返済できたのだろう。原作にそんなくだりはあったっけ?
なんだかんだあって主人公は岩手の田舎に戻り、彼の人生にはまだ続きがあることを予感させてくれて「終わって」はいない。
とはいっても舘ひろしはもともと、しぶくて格好が良く、現役感たっぷりの俳優なので、普通のサラリーマンが迎える定年のイメージからはかなり遠い印象を受けたのもやむをえないだろう。この映画、ぼくの今後にだぶらせること自体がもともと無理だったようだ。