設定は遠いけれど こんな夫婦でありたい
(朝原雄三監督、公開2015年6月)
佐藤浩市と樋口可南子が演じるシニア夫婦の物語。こんな設定の作品を積極的に観たくなる年代に達したのだと実感する映画でもあった。
夫妻は東京から北海道・美唄に移住する。夫は鉄工所経営が行き詰まるが、従業員に退職金を支払える前に会社をたたむ律儀な男である。美唄は結婚前に登山した大雪山がそばにあったから、というのもわかる。
娘は不倫の恋に陥り、実直で不器用な夫はそれを許せない。妻は早めに娘の気持ちを受け入れて許し、連絡を取り合っている。
趣味がほとんどない夫は美唄の新居で時間を持て余すが、家の周りに石塀を作り出して地元の若者と知り合ってから、いろんなドラマが始まる。死が迫る妻が覚悟の手紙を家のあちこちに隠していて、やがては娘とも和解へ…。
こんな設定はぼくからは遠いけれど、こんな夫婦でありたいなあと感じながら観た。実際は気恥ずかしいだろうなあ、とも思いながら。
観る前はこの『愛を積むひと』というタイトルは、2010年にDVDで観た『愛を読むひと』からきていると思っていた。観てみると、主題がかなり違う。ネットで確認したら、原作はアメリカ人の同名小説だった。