ぼくは4匹目の耽読役 妻や孫にも親しみ
(新潮文庫、初刊は2009年3月、2012年3月)
新聞広告で知った。北大路欣也や泉谷しげるが出るテレビドラマも人気になっているという帯も、読んでみたくなった理由だ。
ぼくは「孫がいる”本物”のおっさん」である。3人の元気な老人が主人公の小説だから、いわば”4匹目”となり、わが身に引きつけて夢中で読んだ。
両巻とも6話にわかれ、テーマや中心人物が変わっていくので、コマ切れに読んでいっても読み継ぎやすかった。
読み進めていくうちに、周辺にいる妻や子供たち、孫たちのキャラクターにもリアリティと親しみを感じるようになった。孫がじいさんに対して使うつっけんどんな口調と、その裏側に感じるやさしさとの対比も好きだ。
■「筆者は女性」でまた驚き
その2『三匹のおっさん ふたたび』の北王路欣也の解説を読んで驚いた。テレビドラマの原作者、この本の筆者の有川浩氏について「彼女は土佐の人である。はじめておあいした時、(坂本龍馬の姉の)乙女姉さんだと一目で直感した」。ええーっ、この作家、女性だったんだ !
浩という漢字から男性だと思い込んでいた。カバー紹介にも代表作が『自衛隊三部作』や『図書館戦争』だと書かれていて、硬派なテーマばかりに思えたから―。いやあ、世の中は不思議なことだらけ。だから、面白い。