5 映画 銀幕に酔う

米日合作『Lost in Translation』

日米の言語 男女の人生 どちらも迷子

 (ソフィア・コッポラ監督、2004年4月公開、DVD)

 あのコッポラ監督の娘の2作目。正直、がっかり賞である。

 日本という言語的、文化的な特性へのlost か、中年男性と若い女性それぞれの人生でのlostか。たぶん両方を狙っているのだろうけど、ぼくの胸には迫ってこない。

 主人公の男が最後に見せる女々しさも見苦しく、アカデミー賞などにいくつもノミネートされながら、主要な賞を逃したのはわかる。

 東京が舞台なので日本人も登場する。主人公の目に映る日本人の傲慢さや慇懃無礼さも、ぼくには薄っぺらに見えて異質感がある。もっと日本人にリアリティのある配役もほしかった。

 それにしても外国人が映画で描く日本人の姿って、こんな感じになってしまう映画がいまだに多い気がする。逆もそうなのだろうか。日本人が作る映画で描く米国人や英国人って、彼らから見れば違和感がいっぱいなのだろうか。

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