現実主義と本音 経済原理に新世界か
(幻冬舎、2002年12月)
「目からうろこ」の指摘や独自の視点がいくつもある。
たとえば42ページで「バブル崩壊で日本人は豊かになった」と言い切っている。企業収益が悪化しても、従業員はこの10年、リストラ、賃下げはなし。株主(企業)から従業員へ所得移転が進んでいる。
ほかの視点からも。「690兆円の債務残高」→「この10年で400兆円増」→「その分は公共工事で国民の財布へ(140兆円の金融資産に)」→「日本人が豊かに見える理由」といった具合である。
そのほかの歯切れよい提言を集めてみるとー
- 生命保険は損することに意味がある、宝くじの一種だ → 共済系3社の組み合わせで十分だ
- 年金制度は破たんする
- 究極の自由とは「Perpetual Traveler」(永遠の旅行者)
- 税はすべて消費税にしろ。所得税、法人税、相続税を廃止し、逆進性は別のセーフティネットで
この本を説明する適切な表現が浮かばない。あえていえば、本音と現実主義の新しい経済原理論兼お金もうけ論、とでもいうべきか。的を得ていない気がする。