木組み天井の船庫 海のおおらかさ
(三重県鳥羽市、内藤廣、1992)
前から観たかった。内藤廣氏の設計。1993年の日本建築学会賞など数々の賞を受賞した建築だ。完成から10年がたち、それなりの落ち着きがみられた。建物の一部には荒れもあった。
いちばんの印象はやはり天井の木組みだった。船庫の構造体のイメージなのだろう。アールがついた梁と、それに付随する斜めの柱がきわめて立体的に空間を支配している。
外観は印象が違う。黒いオイルステインの下見張りとシンプルな屋根から端正な感じを受ける。壁の下側に一部導入したガラスが、軽さと現代性を演出している。配置図は単純なのに、地形が傾斜しているため、訪れた人にはより複雑な構成に見えるだろう。
内部の展示は漁師の素朴さ、海のおおらかさに満ちていて、こちらも良い。ところどころに幼稚な感じにとどまっている展示もあった。
観終わったら昼食時間になり、受付の若い女性に「近くでお勧めの店はないですか?」と訪ねたら、教えてくれたのが西村食堂だった。海よりの海岸通りにある、大衆的な磯料理店だった。
これが大正解だった。お造り定食2500円。新鮮で量もたっぷり。うまかった。海の博物館との「相性」もすばらしかった。