題名はシンプルで語り調 でも実は難解
(新潮新書、初刊は2003年4月)
あらためて読み直してみたベストセラー。よくいわれているように、インパクトがありシンプルなタイトルから想像するほど、わかりやすくはない。実は極めて難解な本だと思う。
ぼくなりにエッセンスを抜き出すとこんな感じだ。
- 「話せばわかる」は嘘だ。人はわかろうとしていることしかわからない。
- 人間は変わる。変わらないのは情報だ。
- 情報を信じすぎて、身体性を軽んじすぎている。
- 入力と出力はy=ax である。「a」は人によって大きく変わる。
口述筆記方式で書かれている。なので文章も一見すると平易なので、読んだきには余計にわかったつもりになっても、後で自分でこうして文章にしようとしたり、他人に説明しようとすると一気に難しくなる。
そんな現象も『バカの壁』のひとつなのかな。皮肉な話だけれど。だから何度も読み直してみたくなるし、ひとにそう伝えたくなる。多くの人がそう思っているのだろうか、今でもまだ、売れ続けている。