頭も要領もいい美少年が活躍 後半は違和感
(講談社、初刊は2004年12月)
平四郎という小役人はナマケモノか否か。弓之助という少年は、類まれなる美少年で頭も要領もいい。
最初は面白かったこの組み合わせだが、正直、最後の方は弓之助が鼻についてきた。こんな若者、江戸時代でもいるわけがない、と。
これまで宮部作品はかなり楽しませてもらってきたけれど、弓之助ほど違和感があるキャラクターは出てこなかった。多少の違和感を感じる人物が出てきても物語が展開していく中でまわりと調和して収まっていったし、それなりの存在感もあった気がした。
宮部小説に出てくる男たちって、作家が好きか嫌いか、そのどちらかでないと、小説には使えないものなのかなあ。