自由も平等も胡散臭い いまこそ武士道を
(新潮新書、2005年11月)
いやはや、強烈な「本音の展開」である。
なんせ、自由も平等も民主主義も根本から疑ってかかる。自由なんて人間には無理、平等はもともとフィクション、民主主義でも戦争は発生した―。日本に必要なのは「情緒と形」だと言い切るから、小気味良すぎるくらいだ。
「武士道精神の復活」も声高に唱えている。武士道と聞くとぼくは背中をくすぐられるような、ちょっとうれしい感覚がしてくる。いまそれを体現している日本人だれだと筆者は考えているのだろうか。
本書で筆者は父から武士道精神を叩き込まれてきたと書いているので、自信はありそうだ。ぼくが思い浮かべる典型はイチローと松井だろうか。人によっては政治家の小泉や細川をあげるかもしれない。