4 評論 時代を考える

養老孟司『超バカの壁』

耳に痛い話も平気で 面白くて気になる

 (新潮新書、2006年1月)

 この著者は人の耳に痛いことをこんなに平気で言える人なのかと驚いた。大学では「変人」で通っていたのではないか。本人はそう思っていないだろう。まわりから「変人」とみられていることは自覚はしていても。

 いちばん印象に残るのは、靖国問題への発言だ。言いたいことは言わせておけばいい、どっちかがすっきりすることは、どっちかがすっきりせずに尾を引く問題だから、だらだらと長引かせればいい―。

 すっきりしなくていい、は現実的な提言かもしれない。政治的に解決できない問題はそのまま、ああだこうだといいながら引き延ばすに限るということか。きのうきょうの竹島(独島)問題も同じで、外交の要諦だともどこかで読んだ。

 早めに東大を退官しベストセラー続々、ムシの研究、ヘビースモーカー…。なかなかの人だ。そしてやはり、面白くて気になる、大好きな変人だ。

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