三種の神器から流行歌 あの時代にみな収れん
(山崎貴監督、2005年11月公開)
予想を上回る楽しさと懐かしさ。久しぶりに納得の2時間であった。
昭和33年というと、ぼくが5歳か6歳のころだ。日本がもっとも輝いていた時代だったというメッセージがよくわかった。
三種の神器から流行り歌まで、ぼくの頭の中ですべてがあの時代に収れんしていく。涙が出てくる場面も多かった。
売れない作家の茶川と、たまたま預かることになった淳之介の気持ちの触れ合いが印象に残る。淳之介の父親が運転手つき高級車で茶川の家に乗り付け、淳之介を引き取る言ったとき、しぶる淳之介に茶川がこう語り掛ける。
「いいなあ、すごい金持ちだぞ。なんでも、買ってもらえるぞ」
あのセリフは、この映画の昭和30年代という「まだ貧しい」時代から、平成の「モノ豊かな」現代に向けての皮肉のメッセージでもある。もう当時には戻れないということをぼくたちはみな知っているのだから。