8 街歩き 建築を味わう

金沢21世紀美術館

大胆で明快な円形プラン 市民はしあわせだ 

 (金沢市、SANAA設計、2004年10月開館)

 金沢市街の中心、旧美大跡というロケーションがすばらしい。そしてなにより、周囲を全面ガラスで囲んだ円形プランという大胆さが心地よい。

(▲パンフに建築紹介も)

 周囲の住宅やマンション、樹木、道路、芝生が中からも垣間見える。街の公民館のような、屋内広場のような趣もある。

 明快すぎるほどのコンセプトを現実のものにしたプランニングとソフト、関係者の知恵と柔軟性を推量して驚く。この案を受け入れた金沢市民にも。

 「建築の力」をこれほどポジティブに見せてくれる建物はそう多くないだろう。ぼくがすぐに思いうかべる日本の公共建築では、丹下健三の広島平和会館や代々木体育館だろうか。

<▲パンフの案内図も円と四角>

 透明感に知的さが備わっていて、建物の内外を何度も回ってみたくなる。また来たくなる。金沢市民は幸せだ。

 この美術館のロゴマークに平面プランが使われていることに、ショップで気づいた。記念のTシャッにも同じ模様がプリントされていて買い求めた。

コンピューターの基盤図をもイメージさせるこの模様が、この美術館のコンセプトの求心力と現代性を物語っている気がする。

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