5 映画 銀幕に酔う

邦画『フラガール』

石炭斜陽とダンサー嬢 陰と陽の泣き笑い 

 (李相日監督、公開2006年9月、DVD)

 昨年の日本映画ブームの中でも幅広い人気を集めた一作。いわき市の常磐炭鉱の斜陽化とともに立ち上がったハワイアンダンサーたちの泣き笑い、感動のストーリーである。

 周防正行監督の『シコふんじゃった』を思わせる。ともにその時代や場所からはずれた感がある特殊な分野にのめりこんでいく主人公たちと観客。体を動かし、心を投入することでしか得られない高揚感ー。小説より映画ならではの盛り上がりが成功につながっている。

 ダンスに突き進む女優たちの熱がすごい。この映画を撮った李監督は、若い女性やその卵を引っ張っていける「気」があるのだろう。

 欲をいえば、閉山する炭鉱になぜフラダンスだったのか。その思いつきから計画発表に至るまでの過程が省かれていて、唐突な感じがする。岸辺一徳が好演しているだけに、その部分が10分もあれば…。すでによく知られたストーリーなので省いてしまったのだろうか。

 昭和20年代から30年代の日本経済を引っ張った石炭産業の裏面史でもある。『ALWAYS 三丁目の夕日』とか『東京タワー』と同じように、昭和ノスタルジー現象のひとつだと思った。

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