5 映画 銀幕に酔う

米映画『Sketches of Frank Gehry 』

建築の映像 批評の言葉 重層の響き

 (シドニー・ポラック監督、日本公開2007年6月)

 フランク・ゲーリーが設計した建築の映像、ゲーリーの設計作業(というより模型いじり)の様子、様々な人たちのゲーリー論が登場する。

 映像と言葉とがミックスされていて、ゲーリー建築の魅力と、言葉による批評の重層的な響きあいが浮かび上がってくる。

 ゲーリー建築はなんといっても、スペインのビルバオに出現させたグッゲンハイム美術館で一気に有名になり、ぼくも知った。金属バネルを多用し周到的にうねった特異な外観は、ビルバオのくすんだ街並みと圧倒的な対比を見せていて、写真であっても一度見たら絶対に忘れられない建物だ。

 何人かの批判が面白かった。その中には「安易な形態至上主義、イージーな追随者を呼ぶ」というのもあった。なるほどそんな言い方もできるか。

 監督のシドニー・ポラックは意外な名前だった。ゲーリーとは長年の友人らしい。ぼくになじみ深い作品は『追憶』と『コンドル』だ。ともに学生時代に観た映画で、主役はどちらもロバート・レッドフォードだった。ゲーリーとはかなりタイプが違うなあ。

(2020年10月追記) ゲーリーは映画の後、ファンダシオン・ルイ・ヴィトンの設計も依頼され、2014年にパリ郊外に完成した。ぼくは2018年8月に現地を訪れ、初めてゲーリー設計の建物の現物を観た。こんな設計ができる建築家もぼくの想像を超えているが、この提案と設計をOKできるオーナーがいて、それがビジネス的にも成り立ちうることにより驚いた。

<▲ファンダシオン・ルイ・ヴィトン=パリで2018年8月>
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