3 随筆 個性に触れる

城山三郎『そうか、もう君はいないのか』

こんな風に最後の日まで妻と過ごせれば

 (新潮社、2008年)

 話題作。城山三郎は昨年2007年3月に80歳で亡くなった。書斎にばらばらに残されていた遺稿を、娘さんと新潮社の編集者が整理し、妻の容子さんとの日々をまとめたエッセイである。

 ふたりの出会いや新婚旅行の時の描写には、すこし、照れくさい表現が出てくる。その後の夫婦のつながりはやはり、味わい深い。

 この本と同じように、ゴルフについてあちこちに書いた散文を集めた「ゴルフの時間」(ゴルフダイジェスト新書)よりは、はるかにできはいい。

 ただ体言止めで終わる文章が多いのがぼくは気に入らない。大作家らしくない。いずれ書き直すつもりのメモ代わりだったのなあ。

 容子さんは2000年2月になくなっている。三郎が73歳の時である。ぼくと妻も、どちらが先に逝くかわからないけれど、こんな形のつながりのまま最後の日々まで過ごすことができれば、望外の幸せだろう。

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