プロット奇抜 役作り光る変人と精神科医
(中村義洋監督、公開2008年2月)
予想以上、いや期待以上に面白かった。
何よりも、原作の持つプロットの奇抜さが光っている。そのうえで、阿部寛の変人ぶりの演技がいい。竹内結子も、ちょっととろいが素直な精神科医の役作りがすばらしい。
いちばん意表を突かれた場面は、チームを率いるエリート医師の目が実は下半分が見えていないというところだった。小説を読んでいないのでこれは意外だった。そこが重大すぎて、真犯人はこの男だったという意外性が薄まったかもしれない。
チームは7人だからその性格分けが極めて重要であったはずである。それは成功したとはいえないのではないか。真犯人がわかった時、やはり彼かとどこかで思わせるだけの情報も演技もなかったようにぼくは受け取ったので、意外感が残った。
まあ、ケチはいつでもだれでもつけられるが、つくる方からすれば大変だろう。医療系の映画をしっかり楽しめた。それだけで十分である。