5 映画 銀幕に酔う

邦画『沈まぬ太陽』

主人公の武骨さ共感 原作スケールに脱帽

 (若松節朗監督、公開2009年10月、MOVIX三好)

 山崎豊子の原作を読んだのはバンコクだった。赴任中に発売されて話題だったが、あまりの分厚さに尻込みし、なかなか手を出せないでいたことを覚えている。

(▲本棚の原作)

 しかし、特派員仲間のだれかが会食で「やっと読み終えた、面白かった!」と話しているのを聞きし、伊勢丹バンコクで購入。1週間かけて一気に読み終えた。主人公の恩地という男の武骨な生き方が魅力で、共感できた。

 あれから10年たってやっと映画化された。折も折、モデルとなったJALの経営問題が深刻になっているいま、妻とシネコンで観た。

 渡辺謙の演技が見事だった。カラチ支店やアフリカでの描写も実感を伴ってみることができた。

 テーマになっているJAL(映画では国民航空)の親方日の丸、封建的、上意下達の体質と良心の葛藤はストレートに伝わった。202分もの長い作品だけれど、最後まで間延び感を抱くことはなかった。

 細部が原作と少し違うのではとの印象は持った。三浦友和が裏金を作る過程や、政権から送り込まれた石坂浩二の評価はあんな風だったのだろうか。

 ぼくがいつも頼りにするキネ旬ランキングでは、09年国内作品の5位と評価は低かった。3位の『剣岳・点の記』より下とはちょっと意外だ。

 それにしても、あらためて思う。山崎豊子という作家、スケールのなんと大きいことか。

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