4 評論 時代を考える

内田樹『日本辺境論』

「東端」が形成 ぼくらの文化・思考・歴史観

 (新潮新書、発行2009年11月)

 刺激的だった。知的な興奮も得た。最初から結論が出てきて、論点をつかみやすいー。と思って読み進めたら、途中はかなり難解だった。とくに「Ⅲ 『機』の思想」は難しい。

 この本での主張は、ぼくのまとめだと、日本はアジアの東端にあり、宗教も漢字も西からきた。地政学的なこの外的条件が、日本人の文化、考え方、歴史観を形成している、だろうか。たとえばとして次のような点を挙げている。

  • 常に受け身になる
  • 外国が日本をどう見ているか気にする。
  • 「きょろきょろ」と周囲(外国、欧米)を見て立ち位置を確認しようとする
  • 日本はこういう風にしたいから、ついてくるなら来いと世界へ言えない

 日本語についても面白い言及がある。真名(まな、漢字)とカナ(仮名)の呼び名。真名は表意文字で、カナは表音文字である。日本人はこのふたつを脳の違うところで解読しており、ふたつはハイブリッドに動いている…。だから欧米に多い「難読症」が日本では少ないのだと。

 その難読症は同じ欧州でも、読みとつづりが近いイタリアには少なく、つづりと読みが微妙にずれるフランスでは高くなるという。ここで映画『愛を読むひと』が出てくるのだ。うーん、すごい。

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