メディアスクラムとネット攻撃に問題提起
(君塚良一監督、公開2009年1月)
幼女殺害事件の容疑者の妹への報道やネット攻撃がタテ軸である。佐藤浩市が演じる刑事の加害者家族保護と自身のトラウマがヨコ軸になっている。
マスコミやネットによる人権無視の攻撃の場面は、メディアの一員として正視に耐えられない。あまりに誇張しすぎたとらえ方ではないか。
メディアスクラムの問題は大手メディアはかなり意識するようになっている。ぼくがいる新聞社がこの映画のような報道をするとも思えない。
しかしネットに住む、匿名の人たちの本音や本性は別なのだろう。容疑者家族が逃げ込んだペンションの前に集まり、写メを流す若者たちの不気味さには吐き気がする。同じように群がるリポーターやカメラマンたちの場面にも。
筋立てや展開が荒っぽく、伝えるための誇張が気になるものの、問題提起したいテーマはよく理解できる。
ラストには救いもあった。少しうるっとした。