5 映画 銀幕に酔う

邦画『最後の忠臣蔵』

蔵之助に隠し子 ! 「その後」想像の愉しみ 

(杉田成道監督、2010年12月、DVD)

 役所広司が難しい役を懸命にこなしている。あえて討ち入り前に逃走し、命をかけて守り通してきたのは大石蔵之助の隠し子、という設定だからやむをえまい。

大事な「大石の娘」にもう少し気品と奥行きを感じ取れることができれば、役所の懸命さが伝わり、作品にもっと厚みを感じられた気がする。

 とはいいつつも「忠臣蔵のその後」をいろいろ想像して楽しむことができたのも事実だ。そこはやはり日本映画だからだろう。観客は忠臣蔵のストーリーや武士道を知っていることを前提としてこの映画は成り立っている。

 外国人がこの映画を字幕で見ても、日本史に少し知識があるくらいでは、さっぱりわからないだろう。

 ■映画理解にも「隠れた次元」 迷ったら邦画

逆もまたいえる。洋画の中には、キリスト教や聖書や第一次大戦やナチスなど欧州人の常識が前提となっていたり、共有価値が「隠れた次元」として存在していることがあるだろう。そういう作品は、普通の日本人には理解しにくい。

 その点、米国は日本や欧州より歴史が浅く、インタナショナルなテーマが多いので、どこの国の人もわかりやすい。ハリウッドが世界を席巻できている理由のひとつだろう。

 だからぼくは、年を重ねるにつれて、映画を観るときに洋画か邦画か迷ったら、まず邦画を選ぶようになってきた。

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