特撮が挑む無重力 一緒に宇宙を漂った
(アルフォンソ・キュアロン監督、2013年12月、東急109IMAX)
驚いた。予想を上回る面白さだった。
まともに登場するのは男女の宇宙飛行士だけ。画面の99%は宇宙空間で、地球上が出てくるのは最後に生還するところのみという徹底ぶり。この思い切りのすごさ、切れ味の鋭さに、ハリウッドのプロたちの矜持をみる。
テーマのタイトルでもある「無重力」は、全編を通して、徹底的に画面で表現されていく。この映像はどうやって撮影したのだろうかと想像する余地さえ与えてくれない。それほどリアルで、ぼくも一緒に宇宙に漂っていた。
仮想空間で知的な遊びを楽しむ、という映画本来の根源的な魅力を全面的に出している。悪者や悪意が出てこないシンプルさもいい。3Dや音響効果の最新技術も、作品の狙いや魅力を引き出すのに大きな役割を担っていた。
ハリウッド作品では、4年ほど前に観た『アバター』も特撮に驚いた。特撮技術はさらに進化し、洗練されていて、観終わってすっきりした。
東京の長男夫婦がお正月に帰省して観に行き「すごい、面白い」と絶賛していた作品。お正月明けに妻と観た。